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マンガ「極主夫道」が面白いっ!
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Spoiler Alert!
テレビドラマだけかと思ったらPVもあったようですね
こちらは主演が津田健次郎ですね
雰囲気としては玉木宏のほうがマンガには近い感じかな~
そういうわけで、「一晩に単身丸裸で抗争相手の事務所を十カ所潰したと言われる伝説のヤクザ」の龍は、所属していた辰崎組から足を洗い、今では「専業主夫」として、「自分のシマ(家族)」を守ってます
容姿とヤクザ的隠語を交ぜたしゃべりが、時として一般人とのギャップを生み出し、それが笑いになる……とまあ、なから「お約束」的な話です。上下黒ずくめのノーネクタイスーツにアップリケの付いたエプロン姿でアパートの台所に立ってますが、包丁はドス(短刀=推定刃渡り25センチ)です。包丁は「ヤッパ」、現物の有無の確認は「ブツはあるんか?あぁ?」、血まみれのエプロンで「ちょいと捌いとったもんで……」、「暴力では大切なものは守れへん」といいながらかつての舎弟・雅をタコ殴りにする、「バーゲン(ここ)は戦場や」……まあ、すべからくそんな調子です。主夫なめとったらあかんぞ!
このマンガの場合は、タイトルの通り「極道」+「主夫」で、「極主夫道(ごくしゅくふどう)」となってますが、「極主夫道(きわめしゅふどう)」とも読めますね。そういうわけで、主夫道を極めているわけですので、実際、龍は「家事全般の達人」です。嫁の弁当をキャラ弁にしたり、ペットボトルは専用回収機に運びちゃんとポイント化したり、特売などの最新情報も同業者(=近所の主婦たち)とマメに交換したり……。まあ、たかだか専業しゅふなんだから、家の中のことだけやってりゃいいんだろ……なんて話ではありません
さて、専業主婦=housewifeという概念は、18世紀のイギリスにおいて発生したものらしいですね。産業革命に伴う労働環境の変化で、男性労働者(夫)が、「働くこと」に関して、家から外に出て長時間不在となったことから「夫は外、妻は内」という性的役割分担意識が生まれたんだそうな。wikiなどによると、20世紀には欧米で一般的な考え方になり、イギリスでは1930年代には既婚女性の8割が「専業主婦」となったそうです
日本で「専業主婦」という言葉、というか、概念が出来たのは、いつのころからだったのでしょうね?イギリス同様の「産業革命」=産業構造の大きな変化、が日本で発生したのは、明治に入ってからのことでしょうね。脱亜入欧、富国強兵、四民平等……などと、日本は、明治維新以降、急激な近代化をすすめており、その結果、「工場などで長時間働く男」と「家に入り家事全般を担当する女」という社会的役割分担が出来上がったのでしょうな
では、それ以前の江戸時代はどうだったか?といえば、庶民においては、この手の作られた「性的役割分担」という考え方はあまりなく、大体のどんな仕事でも男女関係なく従事するのが当たり前だったようですね。従事する産業も農林水産業の一次産業というヤツですから、性別よりは頭数、「女だから黙って家のことをやってろ」という世界ではなかったようです
もちろん、武家社会においては異なります。武家は男は戦士・兵士として戦場に行くのが専らでしたから、当然のように「内」の部分は戦場に出かけない人=女性が担当してました。しかしながら、武家は武家らしく、「使用人」を使っていましたね。例えば、映画「たそがれ清兵衛」でも、主人公の清兵衛は、極貧の海坂藩士ではありますが、貧しいは貧しいなりに下男を使っていました。同様に、映画「武士の一分」でも、主人公の三村新之丞は藩の下級武士でしたが、下男(←笹野高史演じる特平)はしっかりいましたな。なので、武家の妻が「家庭内全般を主体的に切り盛りしていたか?」といえば、これはちょっと違うでしょうね(←まあ、例えがフィクションである映画を基にしてて恐縮ですが、漫画についての話なので、OKってことで)
そういうわけで、日本において「専業主婦」という概念が定着したのは、やはり、明治時代以降のことで、社会や産業構造が大きく変わった、まあ、大正期以降なのかな、と推測する次第です。と言うのも、「専業主婦」とある意味、相対する概念に近い「職業婦人」という言葉が1920年ごろに登場し、その後、広まっていった、とされているからです
まあ、繰り返しになりますが、今回の漫画の面白さは、その「ギャップ」というか、「テーゼ」と「アンチテーゼ」の面白さでしょう。残酷かどうかはともかくとして
家庭を守る=女性というテーゼに対して、=男でしかも伝説ヤクザというアンチテーゼ。同様に、一般人と元ヤクザ、怖い外見と可愛らしいキャラ弁……。まあ、ある意味、「常識と思っているコト」への反撃かもしれませんね。黒ずくめのスーツにサングラス、ガラの悪そうな態度→どうみてもヤクザ者だろう!→職務質問→実は専業主夫
なんにせよ、肩肘張らずにゲラゲラ笑えるコメディーです。現時点で出版されている全話を読んだわけではないのですが、とりあえず、変なジェンダー的問題や人種差別的な問題などはなかったと思われます(見落としてたら、すみません)。楽しんでください
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