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映画「アメリカン・スナイパー」/American Sniper

アメリカン・スナイパー ☆☆☆☆/☆☆☆☆☆

アメリカ軍史上「最強の狙撃手」とされたクリス・カイル(1974年4月8日~2013年2月2日)の自伝をベースにした映画です。しかも、監督はクリント・イーストウッドです。これだけでもう、この映画は、作品の内容に関する賛否はともかく、「観ておいて損はない」ということを予感させますね

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Spoiler Alert!

そういうわけで、本編の主人公・クリスは、実在の人物です。アメリカ海軍の特殊部隊「ネイビー・シールズ=Navy SEALs」の隊員に選抜され、イラク戦争に4度従軍。狙撃手として公式で160人、非公式だと255人を射殺しているそうです

アメリカ・テキサスに生まれ、厳格な父親にハンティング技術を教えられ育ったクリス(ブラッドリー・クーパー)は、カウボーイになるのが夢でした。大人になってからはロデオの選手となり、週末ごとの大会参加が基本の暮らしとなり、30歳にもなろうとしていたころ、海外でアメリカ大使館が爆破される事件が発生しました

クリスはこれを契機に「国や家族を脅威から守るために」と軍に志願します。周囲の新兵に比べれば「おっさん」だったクリスですが、厳しい訓練に耐え、晴れてシールズの隊員となります。新たに彼女(タヤ=シエナ・ミラー)も出来て、順風満帆でしたが、今度は「同時多発テロ」が発生したことなどから、アメリカはイラクとの戦争を開始。クリスは自らのイラク派遣の報を、タヤとの結婚式の最中に受け取ります

イラクに派遣されたクリスが最初に射殺したのは、対戦車用手榴弾をもった子どもでした。子連れの女性が周囲を伺いながら露地から通りに現れ、隠し持っていた手榴弾を子どもに渡します。子どもは米軍部隊に近づき、手榴弾を投げようにとしたので、クリスは躊躇なく子どもを射殺します。すると、今度は女性がその手榴弾を拾い投げようとするので、クリスはこの女性も射殺します

「最初の戦果(殺したの)が陰毛も生えていないような子ども」……あまりに悲惨で非情な現実にクリスはアタマを抱えますが、その後も、得意の狙撃で部隊を掩護するだけでなく、突入部隊に加わり、突入の実地指導もしたりして、仲間たちからはその戦果も含めて「レジェンド(伝説の兵士)」と呼ばれるようになっていきます。そして、当然のように敵からは「悪魔」と呼ばれ、賞金首にもなります

そんな中、イラク側に1000メートル超の狙撃を得意とする元五輪選手の「ムスタファ」という狙撃手が現れ、アメリカ軍側を次々と狙撃し、恐怖に陥れていきます。戦闘は激しさを増していき、同僚たちの負傷や戦死も増え、クリスもいつしかPTSDとなっていきます

一時帰国しても、アタマはココロは戦場に残してきてしまったような状態で、戦場に戻ることで心身のバランスを取る。その一方で、一度戦場に戻れば、生きて戻れる保証はなく、そんな現実に家族の不安は増大していくばかり。「今度、行ったら、戻ってきても私たちはいないから……」。妻のタヤはそう呻きます

4度目となったイラク派遣で、クリスは遂に、1920メートルという超長距離狙撃の末に「宿敵」ムスタファを殺害します。部隊は敵に包囲されましたがなんとかそこからの脱出に成功し、クリスは遂に除隊します

「敵を殺すことは、1人でも多くの味方を助けること」……クリスの信念そのものは終始揺らぎませんでしたが、「敵を排除し続けたこと」について、何かしらスッキリしないものはあったのでしょう。やがて、戦傷やPTSDに苦しむ帰還兵たちの社会復帰をサポートするようになり、クリスは、帰還兵たちの心のケアをすることを通じ、自分のPTSDからも解放され、普通の生活を少しずつ取り戻していきます。

しかし、そんな2013年2月2日。クリスは、退役軍人の社会復帰プログラム支援の一環で、PTSDを患う元海兵隊員の射撃練習のサポートに行きますが、その元海兵隊員に射殺され38歳の生涯を終えます

典型的ではありますが、クリスには「テロリズムの脅威から自由社会を守る」だの「イラクの独裁者から民衆を解放する」などといった、アメリカが開戦の口実とするような事案に対しての、大した思い入れ=信念のようなものはありません

と、いうのも、クリス本人は、アメリカ南部で生まれ育った、人のいい、根は真面目で、単純な、アメリカ人なのですから。映画でもクリスのそういった場面はしっかりと描かれています。ヒゲであったり、ベルトのバックルであったり、チェックのシャツであったり……いかにも田舎生まれのアメリカ人らしい小物やファッションにも注目です

クリスが闘うのは、「『敵』から自分の国や隣人を守るため」。それが最大の動機・理由であって、その「敵」が、実は「自分たちの国が身勝手に戦闘を引き起こし、その結果作りだしたものなのではないか?」といった、他の国から見れば当然の疑問もなければ、そもそもその「敵」が「なぜアメリカを敵視しているのか」といった背景への想像力はほとんど皆無です。そんなものを持たないまま軍隊に入り、戦地に行きます

「なぜ彼らはアメリカに敵対するのか?」。イラクに派遣され、戦場で敵を目の当たりにするまで、クリス……に限りませんが、多くのアメリカ兵たちは、「何故、彼らはアメリカの敵なのか?」を、まともに考えたことはないよう見えます。自由で平和なアメリカを乱す邪悪な敵・野蛮なヤツら……、だから始末する。極めて単純な理屈ですね

クリスたち、末端の兵士たちを見ていると、アメリカ人というのは本質的にバカなんだろうか?そうすら思えてきます。わざわざ海外まで出かけて、ヨソの国で戦争をして、その結果、自分たちは戦地で病み、自分たちの国は逆襲され、終いには自分たちの社会までもが病んでいく……。アメリカ人は、モノゴトを、善と悪のハルマゲドンのように、単純にしか考えてないから、「敵」という人間を虫のように撃ち殺せるのだろう……

さて、どうでしょうね?ホントのところはわかりません。アメリカ人の友人はいますが、イラクやアフガニスタン、ベトナムなどを経験した人はいないので、聞いたこともない。一度は聞いてみたいとは思いますがね……

さて、話を映画に戻しますが……
狙撃用スコープの中で、クリスの卓越した技術によって屠られ、血を吹き出し、身をよじりながら骸になっていく「敵」は、紛れもなく人間です。クリスは、自分の正義ため、アメリカの大義のため、仲間を救うためなら迷いもなくライフルの引き金を引き続けてきました。そんな中、理不尽で不必要な死は、敵だけでなく味方も、次から次へと繰り返していきます。イラク戦争に限りませんが、第二次世界大戦以降の戦争には、とかく出口がないんですね。総力戦ではなく、局地戦になればなるほど、殺しても殺しても「戦争」そのものは終わらないんです

狙撃を成功させるためなら、排尿まみれになろうとも狙撃位置から動かず標的を狙い続ける強い意思と行動力を持ったクリスですが、さすがのクリスも、終わりの見えない国家的殺人ゲームに疲れ、出来ればもうトリガー引きたくない……そんな「葛藤」も、少しずつではありますが生まれてきます

武装勢力の兵士がクリスによって射殺され、その兵士が落とした対戦車ミサイルを子どもが拾い上げ、アメリカ軍に向かって発砲しようする……。当然、クリスは、その子どもを射殺し、行動を止めなければなりません。そうしないと「仲間」が失われるわけですから。しかしクリスはスコープ越しに「撃つな」「やめろ」とつぶやきます

しかし子どもはミサイルを構え続ける……クリスが諦めて狙撃ライフルのトリガーを引きそうになった瞬間、間一髪、こどもはミサイルを投げ捨てます。クリスはその子を撃たずに済んだことに深い安堵を覚える……終盤には、そんなシーンも登場します

そんな場面は、スクリーンのこちら側を「よかった、このアメリカ人も単純なる殺人機械じゃなかった……」と安堵させるべく入れ込まれた「贖罪」シーンと取れなくもないですが、そこまで穿った見方はしないまでも、どんなに優秀な兵士であろうとも、その本質は、良心をもった普通の一市民である、ということを確認させたかったのかもしれません

まさにイラクでは「賞金首」ですが、国に戻れば、クリスは、よき夫であり、よき父親であります。信仰を持ち、家族を大事にし、自分たちのコミュニティーを大事にする、まさに「よきアメリカ人」そのものです。この映画のコピーでも「米軍史上最多、160人を射殺した、ひとりの優しい父親」と、クリスの「普通の人」ぶりにスポット当てています。まあ、それ自体が、「プロパガンダである」と言えなくもないのは確かですが……

そういうわけで、クリス本人は大袈裟に悩んだりはしませんが、タヤが感じる「疎外感」をぶつけられることで、自分の中にある葛藤にも気づいていきます。ある意味鈍感、ある意味真面目で正直なアメリカのおっさん……この辺も「いかにも」という演出と言えなくもないですが

まあ、この映画はいわゆる戦争ヒーローものではないですね。かといって、反戦ものでもありません。遠い見ず知らずの異国での戦争が日常化している大国・アメリカの一面を、とりたてて見どころがあるわけではないもののちょっとだけ特殊な「狙撃」という能力をもっていた普通のアメリカ人の体験を通じて描いたドラマなのでは、という気がします

こちらでも書きましたが、アメリカ合衆国の人口の6%は「退役軍人」です。それだけ軍人が身近にいる国って、発展途上国はともかくとして、先進国ではそうそうないでしょう。軍隊との距離感と、軍備・軍事力の現実を、どう解釈し、どう、もっともらしく整合性をとっていくか、そのことに腐心し続けている日本から見れば、「戦争」という行為を、さまざまな切り口はあるにせよ、単純化して語ることが出来るアメリカという国は、なかなかに興味深いカルチャーだなぁ、と思いますね


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