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マンガ「セフレの品格」が面白いっ!
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セフレの話……ではないですね。大人の恋愛話、と言った方がいいかもしれません。話がどこまで続いているのかは知らないのですが、ネットで調べた限りではまだまだ話は続いているようです。アタクシが読んだのは、「第一部」の途中までのようですね。タイトルは「セフレの品格」ですが、「品格」の部分には「プライド」とルビが振ってあります。ここがポイントですね
主人公の抄子はバツ2の子持ちの36歳。都内で空き家となっていた実家に娘と戻ってきましたが、たまたまあった同窓会で、初恋の人・一樹に再会します。一樹は産婦人科医でバツイチ。流れから、まあ、なるようになって、抄子にとっては、4年ぶりの行為は、それはもう最高だったようです。2人は連絡先を交換し、その後も逢瀬を重ねます。のめり込む抄子をヨソに、一樹は「愛はいらない。カラダの関係だけでいい」……!「セフレ」という関係性の提案に抄子は一樹とは別れようとしますが……
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Spoiler Alert!
作者は湊よりこ……女性なんでしょうね。画のタッチも女性作家を思わせる繊細な感じで、ともすればドロドロになりそうな話を、美しく描いています。まあ、話の内容としては、結構、というか、かなりのドロドロですけどね。抄子の元旦那はモラハラで薬を盛って抄子を犯したり、一樹の元妻は実は父親の愛人で息子も実は父親の子だったとか、抄子の親友の華江はレスな旦那公認で愛人を持って――。まあ、スゴイです
しかしながら、登場人物たちの背景や心の動きなども、丁寧に描き込まれているため、しっかりと感情移入しながら、時には「それはねーだろー」というツッコミも入れながら楽しめます。善人面した悪人は登場せず、悪人はちゃんと悪人面です
「カラダの相性」……男女間ではよく聞くキーワードですが、この作品でも重要なキーワードのひとつとなっています。まあ、確かに、アタクシ如きの乏しい経験から導き出しても、確かに「カラダの相性、というのはありますっ!」と、例の「なんちゃら細胞」よろしく叫んでみたくなるときもあります。しかしながら、まあ、それぞれにこれは「一期一会」のようなものであるから、当然のように「合う」「合わない」「フィットする」「フィットしない」はあると思いますよ
もちろん、一度目がよかったから二度目も同じようによければ、それはそれで「よかったですねぇ」の話ですが、これがなかなかに……実は「面倒であったり」します。というのは、一度目が良くなくても、二度目がものすごく良かったりすることもあるし、一度目はよかったけど、二度目以降は全然ダメでした……なんてことだってある
その時その時で、相手はともかくとして、状況も環境も場所も気分も体調も違うわけですから、「毎回いい」とか「毎回すごくいい」というのであれば、それはそれで相当に幸せである、と思ってもいいことなんじゃないですかね?
なにしろ、お互いに好き合っているから、則ち「カラダの相性も抜群」って訳じゃあないんだし。場合によっては極めて残酷ではありますが、「好きなのにカラダの相性は最悪」……と、これまた「よくあること」ではあるわけですよ。もちろん、好きな相手とは「カラダの相性も合う・フィットする」であって欲しいですが、現実は厳しいですなぁ、ホント
さて、これまた一般的に言われている話ですが、「男は愛がなくても出来るが、女は愛がなければ出来ない」……これもまたテーゼとして登場します。とりわけ、一樹は一度目の結婚が、実は父親の愛人とで、生まれた息子も実は父親の子だった……ということが発覚してからというもの、女性を愛することを自ら禁じ手にします。それが抄子にも告げた「愛はいらない」となります
一樹はどんなに「カラダの相性が良い」相手であっても、その人間性にまで踏み込もうとはしません。誰かを好きになることによって、再び自分が深く傷つく・傷つけられるようなことになりたくないからですね。まあ、カラダだけの関係なら、変な話、「一緒にテニスをしている」ようなもんでしょうから。もちろん、テニスをするにしても相手は選ぶように相手は選んでしますけど。拘束しない、約束しない。したいときにだけ連絡する……
しかしながら、そうはいっても相手は人間です。みんながそこまでの「割り切った」関係にはなれないものです。お互いが「完全に自制し独立した関係性であり、ココロとカラダは分けて考えられる」というのはある意味、まったく現実的じゃない、って訳ですね
人間は誰しも独占欲だってありますし,満たしたい・満たされたいという欲求だってある。ましてや、世の中の関係性は常に1対1だけで成り立っているわけじゃない。自分自身は確かに「1」かもしれませんが、この「1」には、別の多くの「1」が紐付いている
この物語でも、抄子と一樹は、すったもんだの末に結ばれて、抄子は一樹の子を身ごもりますが、一樹は別のセフレであるフランシスから逆恨みされ、抄子が階段から突き落とされたり、一樹自身が監禁されたりします。この間に抄子は腹の子を死んだ元旦那にレイプされた時のと勘違いし中絶してしまう悲劇を呼び込みます。1対1ではあるが、1は1であって1ではない……という、まあ、毎度の大○隆○主宰先生のような話ではありますが
無駄に長くなってますが……そういうわけで、このマンガは、想像以上に面白いです。機会がありましたら、最新話に追いついて行きたいと思ってます
で、いまさら気づいたのですが……この作品が、そうは言ってもストーリーとしてわかりやすいのは、実は、主人公の抄子も一樹も、一応「独身」である、ってことですね。×はついてますけど、法的には独り身なので、元々、だれがだれを好きになっても、ナンの法的問題は発生しない。つまるところ、そこいらの法的・倫理的問題は完全にクリアなわけです。実際、主要登場人物で婚姻関係にあるのは華江だけですもんね
たぶんこの物語が、そのドロドロっぷりは韓国ドラマ並み(←援助交際したり、交通事故に遭ったり、家が火事になったり、そのくせ海外で暮らしたり……)であるにもかかわらず、妙な正義感や倫理観を振り回すような展開にならずに、むしろスリリングな「恋愛ゲーム」でいられる、というのは、たぶん、この「独身」である「大人たち」による「自由恋愛の話」であるからなのでは?などと思った次第です
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