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映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」
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これは駄作でしたなぁ……。もちろん、極めて個人的感想ですがね。小栗旬演じる太宰治の物語……結構、期待してたんですわ。監督が蜷川実花だし。独特の色彩感覚を伴った、これまでにない太宰の世界が、ある意味大胆に、冷徹に描かれるのではと期待しましたが,モノの見事に外しましたね。とにかく「映画」として面白くない。唯一よかったとアタマに残ったのは、沢尻エリカはいい女優だ、ということですね。クスリ漬けだったとは極めて残念ですが
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太宰治=本名・津島修治ですね。青森県の津軽地方、金木(現五所川原市)の出身の小説家です。代表作には「人間失格」とか「斜陽」、「走れメロス」などがあります。最後は愛人と玉川上水に入水自殺します。38歳だったそうで太宰はハチャメチャな私生活を送り、そこから小説の発想を得ていく……典型的な私小説作家として、「無頼派」などとも呼ばれていましたが、この映画では、他人の日記を拝借して小説を書き上げる、他人のアイデアを盗用するなど、まあ、才能の乏しさを、女性をたらし込んでそこからネタを得る……などと、今の時代なら、完全にNGなことばかりしていたように描かれていますね
太宰は、川端康成にだったかな?「芥川賞をください」と懇願する手紙を何度も出していたようで、まあ、賞とか肩書が欲しかったんでしょうね。実際、アタクシも太宰の作品をいくつか読んではいますが、申し訳ないが、いずれも「駄作」だと思います。正直、なんでこんなモノが受けたのか、まったくわからないですわ
そういうわけなので、この映画に登場する太宰は、そのイメージそのものの「ウルトラダメ人間」です。それを、小栗旬がまた、実に薄っぺらに演じてるんだわ……。実際、太宰はそういうわけで、私生活でも悪ぶったり、偉ぶったり、さまざまな虚栄をカラダにまとわりつけて、何度も自殺未遂を繰り返し、どうしようもない人間でした
しかし、思うに、リアル太宰のダメっぷりは、いろいろとわかるような気がします。自らの重みで潰れていったその先に出来るブラックホールのような、それこそが実は、自らの才を信じれば信じるほど、「自分には根本的な才能がない」というのに気づいてしまったであろう太宰本人がいて、だからこそ、どこかに、その太宰の中にある「大きな岩」をちょっとでも動かすヒントを得ることが出来れば、「自分は誰よりも面白く書くことは出来る」と、太宰は思っていたのではないでしょうか?
オリジナルを生み出す力はないけれど、ほんの小咄でも「火だね」があれば、その火を大火山の噴火のように、いくらでも延焼させることは出来る……確かにこの手の「天才」もいます。同じ青森出身の寺山修司もそんな感じだと思いますね
まあ、それ故、太宰は題材となりそうな女と関係しては、彼女たちが紡ぎ出す、拙くも独自性や独創性に満ちた物語を吸い出し、組み立て直し、脚色し、世の中に「太宰治」作品として出していったのでしょう
残念ながら、小栗太宰には、そんな焦燥やら葛藤やらは感じられません。単なる軽薄なダメ男です。しかし、リアル太宰が行っていた「ダメ人間」ならでは「剽窃創作法」から考えれば、小栗太宰のどうしようもない薄っぺらさは、ある意味、リアル太宰を「真芯」で捉えていたのかもしれませんけどね……
宮沢りえが、そんなダメ男を甲斐甲斐しく支える妻・津島美知子を演じてます。「昭和の女」ですかね?それにしても宮沢りえは、ダメ男の妻とか、ワケ有りの出戻りとか、妙に幸せになりきれない人の役柄が多いですねぇ
蜷川実花が作り出す映像は、不思議なドラマ感を作りだしていましたが、どうにも、この太宰治というテーマとは相性が悪かったのでしょう、「美」とまでは辿り着かず、どことなくおどろおどろしい場面とだけなってしまった感が残念といえば残念でしたね
そういえばこの作品中、太宰治を批判する存在として三島由紀夫が登場しました。これが、個人的には、ちょっとだけツボでしたね
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