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映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」
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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ ☆☆☆☆/☆☆☆☆☆
いや~実に面白く、かつ、興味深い映画でしたね~。劇場公開は2016年、マイケル・キートン主演、ジョン・リー・ハンコック監督のアメリカ映画です。映画館で上映しているときにスケジュールがどうしても合わず、見逃して悔しい思いをしていたので、ここにきて見ることが出来て良かったわ~
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Spoiler Alert!
今回、アタクシがこの映画で「なるほど~!」「へ~~~!」と思ったポイントは、「創業力」「契約とアメリカ社会」ですかね~
さて、物語としましては、みなさんご存じのハンバーガーチェーン店「マクドナルド」が誕生するまでを描いた実話に基づく伝記的映画です
1954年、アメリカ・カリフォルニアにサンバーナーディーノって場所があるようなんですが、ここに、マックとディックという「マクドナルド」兄弟が経営する小さなバーガーショップがあったんですな
本編の主人公であるところの、後の「マクドナルド」創業者、レイ・クロックは、しがない「ミルクシェイク用攪拌機のセールスマン」でしたが、こちらのバーガーショップから攪拌機の大量注文がありまして、そのことから、このバーガーショップを訪ねてみることにしたのですな
レイが行って見ると、その、シェイク攪拌機を大量注文しようという店は、えらく混んでました。メニューはハンバーガーとフレンチフライとシェークだけの超限定。値段はどれでも15セントだったかな。チーズバーガーもなかったような……。窓口で注文すれば30秒と待たずに商品が出てくる。商品は紙にくるまれており、客はそれを手づかみで食べる……
それまでは、例え「外食」であってもあるのが「常識」であったナイフもフォークも必要としない……しかも、バーガー自体がやたらと美味いじゃないかっ!
レイはこの,マクドナルド兄弟が編み出した、早い・安い・美味い、しかも画期的で効率的という商品提供の流れ具合、つまり、現代で言うなら「ファストフード」をいうビジネスモデルにココロを奪われます。そして、「これはアメリカの宝である」とか何とか言って「フランチャイズ化して全米に広めよう」と兄弟を口説きます
多店舗化はマクドナルド兄弟にとって経験済みだったことなので、「多店舗化=商品の質の低下、商品における思想の欠落」などとして、難色を示します。古き良きアメリカの職人気質が、ここには確かにあったのかもしれません
しかしレイは粘りに粘り、遂には兄弟をして「経営内容を変える場合は許可を得ること」などとざまざまな厳しい条件を盛り込んだ契約書を提示させさせますが……
おそらくマクドナルド兄弟は、「こんな不利な条件ならレイが飲むはずないだろう」、あるいは、レイに承知したと言わせないためにあえて厳しい条件を示し諦めさせようとしたのではないか……などと思います。しかしながら、レイはあっさりと契約にサインし、遂には「マクドナルドハンバーガー」のフランチャイズを開始します
しかしながら、最初は、今で言うところの「マニュアル」に不備があり、マクドナルド兄弟が本来めざしたような「ファストフード」ながらも家族連れで楽しめるような質の高いお店とはほど遠い状態に陥ります。まあ、これは、マクドナルド兄弟が「危惧」していた通りでした
加盟店たちは、勝手に利益だけを求め独自メニューや商品セットを加えたり、ルールやポリシーを守らない店作りをしたりと、やりたい放題。現代のチェーン店の、その統一されたディスプレイに、画一化されたスタイルからサービスまでを知っている我々からすると、信じられないような事態が次々と起こります
「ポリシー」や「スタイル」というのは、なんにしろ、一朝一夕には真似できない、ってワケです
なにげに接しているファストフード店やファミレスなどのチェーン店にも、草創期にはこないな混乱?があったんですね~
さて、そんな想定外の事態が次々と発生し、レイは資金繰りに苦しみ、破産しかけたりもしますが、不思議なことに、逆境に陥るタイミングタイミングで、レイは新たな「人」に出会います。そして、それらの「人」は、行き詰まりを見せていたレイのビジネスの歪みを修整したり、V字回復へと、強力なアシスト役になったりします
社長にするなら、こういう人間ですね。アイデアがあり、事情や情報に長けてる事も大事ですが、こういう、メリットのある人に次々と出会える……「引きの強さ」とでも申しましょうか、あるいは、そういう人が「カモネギ」状態で寄ってくる……そんな「人との繫がり」が持てる人。これはまさに「創業者=ファウンダー」の大事な資質です。RPG風に言うのなら、「『創業力』スキル」とでも申しましょうか
大事なコトは……
最初に見つけた人、最初に見いだした人、最初に作りだした人、最初に、最初に……。最初の人が、必ずしもその「何か」を……、この映画内では「ビジネス」ですが、それを拡大する人、あるいは成功に導く人、であるとは限らないということです
現実社会においては、往々にして、「最初」と「その次」とはリンクせず、また、「最初」と「成功」はイコールではない……この作品はそんなことも示唆していると思います。「最初」であることは評価もされるし、称賛もされますが、それ自体は「成功」と常に仲良く二人三脚しているわけではない、ということです
よく聞く例えですが、テープレコーダーを発明したのが誰かは知らないが、ウォークマンを作ったのはSONYだ、ってヤツです
これが、見終わって「へ~~~っ!なるほど~~!」と思ったポイントその1ですね
次に思ったのが、良くも悪くも、この映画は「アメリカ社会における契約」、あるいは「契約社会におけるアメリカ」をグロテスクなまでに的確に描写しています
例えば、「アメリカ社会」における「契約」というのは、日本におけるそれよりも、遥かに「神聖」であり「秩序」と「効力」を持っている……。よく聞く話です。そして、一度交わした契約は、たとえ理不尽であっても「忠実に履行されなければならない」……
本編の中盤までは、レイはマクドナルド兄弟と交わした契約に、あるときはがんじがらめに縛られ、その結果、資金繰りに苦しみ、あるときは、忠実な履行をしないフランチャイズ店に、ビジネスを守れ!と憤ります
しかしながら、アメリカという国、社会は常に、最終的に自分の利益にならない、と判断すれば、どんな手段を使ってでも、当初の契約は無視し、或いは訴訟に持ち込み、最後は金と金を使ったパワー(時には武力、軍事力)で、契約そのものを破棄させたり、変更させたりします
揚げ句には、「軒を貸してくれた相手」の「母屋」どころか、「すべての権益」を奪い取ります。しかも、それは、一見「民主的手法で作られた」とされる「法律の名において」です。手続きだけを見ると、公平なようにも見えますが、実態は「箱庭の中の平等」のような、誰かにとっては妙に都合の良い条件付きです。アメリカ人=アングロ・サクソン的手法、とでもいったらいいんでしょうか?
レイがマクドナルド兄弟から、次々と「Mac」を奪っていく様は、さながら、アメリカ大陸にやってきたアングロ・サクソンたちが、ネイティブアメリカンと、最初は交易し、利用し、やがては土地を取り上げ、最終的には僻地の「居留地」に押し込め、言葉や文化を奪い、マイノリティーとして隷属化していった、その歴史を見るかのようです
レイはマクドナルド兄弟から、「第1号店」や「創業者」の称号……最終的には、ほとんどのものを奪います。しかも、葛藤もなければ悪びれた様子も、後悔も苦悩もありません。しかも、コトの最初から、レイが「マクドナルド創業者」となるべく、モノゴトは回っていたかのような、そんなストーリーまでも創作、流布します
アメリカ社会とは、かくの如しです
成功は正義なのですよ、つまり。成功に優る正義・正論はない。自由と平等、アメリカンドリームの国……などと言われるアメリカ合衆国ではありますが、その社会の行動原理は、基本、ウルトラ利己的で、ご都合主義ある……。まあ、トランプを見ればわかるでしょ。「自分ファースト」ですよ。まあ、自分を優先する、というのは、とかく回りに押し流されてしまい、その気もないのに「自分を犠牲にしてまで周囲を優先し体面を保つ」ことが常態化している日本人社会にとってはうらやましい限りですがね。日本社会はもっと「自分」を大事にした方がいいですな。アメリカ社会は、逆に、もっと他者を気遣え、ってコトで。他者は金づるなだけじゃねーんだぞっ!ってね
まあ、そんなわけで、この映画は、あの国が持つ顔のいくつかを、それはそれは、しっかりと見せてくれている作品だと思います。そして、改めて思ったのは、日本はあと何十回、アメリカと戦争したとしても、最終的には必ず負けるでしょうなぁ……
そんな気分になりましたね。みなさんはどう思いましたか?(←Alyona風〆……笑)
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