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映画「居眠り磐音」
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居眠り磐音 ☆☆/☆☆☆☆☆
佐伯泰英作の同名の時代小説の映画化です。この「居眠り磐音」、坂崎磐音といえば、アタクシにとってはNHKで2007年から2017年まで、足掛け10年続いた「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~」の方が馴染みもあり、今回も、どうしても比較してしまいましたね
NHKドラマ版の坂崎磐音は、ご存じ山本耕史が演じています。「山本耕史と言えば坂崎磐音、坂崎磐音といえば山本耕史」と言ってもいいぐらい、この「居眠り磐音」は、山本耕史を代表する役・作品の一つではないか、と思うワケです
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山本磐音は赤い襦袢に黒の着流し……今回の終始袴姿の松坂磐音よりも、遥かに艶っぽいというか、脂ぎってるというか……いや、逆か(笑)松坂磐音が、若者らしい爽やかさで脂分が少ない淡泊な感じとでも言った方がいいのかもしれませんね
いずれ、アタクシにとっては、坂崎磐音=山本耕史で10年近く見慣れてきたものだっただけに、今回の坂崎磐音=松坂桃李には、期待と不安がいっぱいでしたね
結論を言いますと……松坂桃李はいいっ!松坂磐音、なかなかです。殺陣がちょっと弱っちい感じがしますが、はつらつとした感じが実によかった
しかしながら、他のキャストは,すべてにおいて、明らかにドラマ版の方が上でしたね
まず、もっと大事なキャラであるとことの「今津屋」奥向き女中頭の「おこん」。おこんさんは、NHKドラマの山本磐音版では中越典子が演じてました。映画の松坂磐音版では木村文乃でした。木村おこんの方が確かに「庶民っぽい」感じはするんですが、中越おこんの方が江戸下町育ちの威勢を気っぷが良くて、鳶(ドラマでの父親は小松政夫、映画では中村梅雀)が鷹を生んだような美人……でしたよ
浪人であるとはいえ武家である磐音と、町娘であるおこんとの微妙な距離感を、中越典子は、実に上手に演じてました。それに比べると、木村おこんは発展途上かなぁ~。まあ、中越おこんは、あしかけ10年も演じましたからねぇ……観ていたこっちにも、いろいろな蓄積があるから、木村おこんには不利な話だったかも
次に、まあ、これが最大の決定打であるような気もするのですが……この物語の最大のヒロインである、坂崎磐音の親友・小林琴平の妹にして磐音の許嫁の奈緒が、テレビドラマ版では笛木優子でしたが、映画版では芳根京子でした。この差がでかい、デカ過ぎた
まあ、両方観てない人にはどうでもいい話だとは思うのですが、あくまでも、ここは「私の部屋」ですので、独断と偏見の上で、この話題を続けますが……
この「坂崎磐音」の物語の「第一部」とも言える、藩の陰謀に巻き込まれた磐音が友を討ち、脱藩し、江戸暮らしをして、かつての許嫁・奈緒が吉原に売られる……までの話を総括するとしたら、奈緒が花魁・白鶴(はっかく)として吉原入りするシーンは、最最最大級のクライマックスです。この最重要シーンは、なまじテレビ版(山本磐音版)を見てしまっていると、今回の映画版は……う~~~~~~~ん、でしたね
まあ、映画だけ見た人はどうかわかりませんが、テレビ版の、この「白鶴」の吉原入り……実に美しかった!巫女のようや白と赤の衣装の笛木優子が、その透明感のある美貌に儚さをのせ、それはそれは神々しいシーンとなっており、現状ではどうすることも出来ない磐音のもどかしさや葛藤、2人の運命の過酷さなどを見事に描いてましたね~
それに比べると……まあ、比べるな、って話ではありますが
まあ、そんなこんなもありまして、人気シリーズもいつかは代替わりします。水戸黄門だって、東野英治郎から里見浩太郎までいろいろありますし、替わった直後は、いろいろと「前が良かった」とか「前のアレがよかった」などとなるもんです。なので、前を知ってる分だけ、その手のモヤモヤも増えるものですが(笑)
果たして、松坂磐音は、その後もシリーズになるんでしょうか?その辺が、この作品を見ての最大の興味かもしれませんね~
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