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映画「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS ☆☆☆/☆☆☆☆☆

黒澤明監督作品で1958年の名作「隠し砦の三悪人」を2008年にリメイクした作品です。密林プライムでUPされていたので久々に観ました。つーのは、公開当時に映画館で観た作品だったのでw

たしか、当時は大阪に居て、場所はなんばの映画館だったように記憶します……

この映画で当時も「へ~~~」と思ったのは「松潤」と「長澤まさみ」と「裏切り御免」でしたね~

まずは「松潤」です
言わずと知れたアイドルグループ「嵐」のメンバー・松本潤が、本作品では主役の「武蔵(たけぞう)」を演じています。あたしゃ、2008年当時は、そんなに「嵐」を知らなかった……まあ、今でもそんなに知ってるわけでもないですが……ので、へ~~、なかなかに良い俳優だね~~、ぐらいにしか思ってませんでした

まあ、それぐらい印象に残る演技でしたね~。で、映画を見終わってから、アレが「嵐」の「松潤」だと知って、はぁ~単なるアイドルグループだと思ったら、なかなか、芸達者な連中の集まりだったのね……と「嵐」を再認識した次第だったのですよ

木村拓哉もそうですが、「アイドル」がなんちゃって俳優をやってる……は、まさに「昭和」の括り方で……例えば、田原俊彦とか近藤真彦は、それなりにドラマや映画にも出ましたが、逆立ちしても「俳優」と呼べるようなレベルではなかった。しかし、キムタクを含め「平成」以降のアイドルたちは、「俳優」としても、ちゃんとレベルに達してる、とアタクシは評価しております、はい

「松潤」しかりで、ホント、「なかなか味のある若手だの~」ぐらいにしか思ってなかったですな、当時。そういえば「嵐」のメンバーには、二宮和也もいましたね。彼も良い俳優です、はい

それはさておき、「松潤」、いい役者だと思いますよ。今回、改めて見直しても、その見方にはあまり変化はなかったですね、はい

で、次ぎは「長澤まさみ」です

この作品で「雪姫」を演じる長澤まさみは「良い」ですね。旧作「隠し砦の三悪人」でも、「雪姫」は当時演じた上原美佐があまり演技経験がなかったといい、はっきりいってド素人のダイコンなので「なるべく喋らせないように」と「口が利けない」という設定を取り入れたとされてますが、本作品での長澤まさみも、まあ、演技が下手ですw 確かに喋らせない方がいい、って感じがびんびんと伝わりますw

しかしながら、この作品に関しては、その長澤まさみの下手さ加減が、姫が百姓に化けるというたどたどしさを逆に際立たせ、思いの外、良い結果となっています

1958年の黒澤版では、雪姫は「気性は激しいが、気品と野性味がある」キャラとして描かれましたが、長澤雪姫は、気品はあまり匂い立たないかわりに、より民に寄り添える姫としてまあ、「庶民的」となっています。それゆえ、武蔵との「淡い恋」なんぞも芽生えてるし、ラストの「どんでん返し」も含め、旧作とはまったく違ったテイストを描くことにもなったのでしょうけどね

黒澤版で三船敏郎が演じた真壁六郎太は、この作品では阿部寛が演じています。阿部寛は下手ではないんですが、三船に比べれば重みがありませんね~。……って、どうしても黒澤作品を、もう何十回も見て熟知してる身としては、本作品は比較の対象となってしまいますねぇ。仕方ないとは思うのですが

黒澤版の三船は、まさに「武士」「侍」って感じです。腹も据わってる。そこいらは「隠し砦」で、最後は自刃する長倉和泉(志村喬)なんかも、やがては囮になって討ち死にする、とわかっていながら、豪快に笑っています。まるで負ける気がしませんね。一方、本作ではその長倉和泉を國村隼が演じていますが、國村長倉は、不安というか、危機感というか、焦燥感が顔に出ており、いかにも「負けそう」な感じです

黒澤版が描く武士・侍は重みがあります。そういえば、かつて仲代達矢が、黒澤明監督の名作「七人の侍」にちょい役で出演した時に、「浪人」として町を歩くだけなのに、何度もNGを出された……と話してましたな。「刀を持って、武士として歩く」というだけのシーンに何度もNGが出された、というこのエピソードを思い出しても、黒澤作品における武士や侍像の「重さ」がわかる、というもんです

と、話はちょいと飛びますが……

この作品で面白いのは……黒澤版の「隠し砦の三悪人」は、その作品を若い時に観たアメリカの映画監督、ジョージ・ルーカスによって、1977年公開の「STAR WARS」……現在で言うなら「STAR WARS :Episode Ⅳ A New Hope」に、多くのアイデアが取り込まれる(←今ならパクり、盗作ですがね)など、大きな影響を与えた作品なのですが……

実際、黒澤版の「隠し砦の三悪人」を見たあと、「STAR WARS Ⅳ」を観ると、面白いぐらいに似ている部分が多いです。是非、お試しあれ……

で……

本作品では、逆に、ジョージ・ルーカスに影響を与えた「隠し砦の三悪人」、それに影響を受けた「STAR WARS」を、さもリスペクトしたかのようなシーンがたくさん登場します。例えば、黒澤版では出てこない「鷹山刑部」(椎名桔平)が、全身黒ずくめの甲冑姿で、なにやらSWのダース・ヴェーダーのようであったり、六郎太と刑部の決闘シーンが、妙に「SW:Episode Ⅴ The Empire Strikes Back」のグラウド・シティでの、ルーク・スカイウィーカーとダース・ヴェーダーと決闘場面を彷彿させたり……と、旧作「隠し砦の三悪人」とSWシリーズを知っていると、何倍も楽しめる、ってな構造になってます

で、最後は「裏切り御免!」です

旧作では、早川領まであと一歩というところで、雪姫と六郎太は山名兵に捕えられてしまいます。本作品では射殺された「娘」も、健在のまま一緒です。そこへ六郎太の好敵手・ライバルである山名の侍大将・田所兵衛(藤田進)が現れ、まあ、すったもんだの揚げ句、兵衛は「裏切り御免!」と言って、雪姫と六郎太を逃がし、一緒に早川領へ逃げ延びる……という、最後の大どんでん返しがあるのですな

この「裏切り御免!」。旧作では非常に効果的に使われています

武士(サムライ)というのは、主君に従属するものですが、同時に「矜持」を持った生き物でもあります。旧作においては田所兵衛のサムライとしての矜持が、自らの主君・山名氏よりも、好敵手・真壁六郎太と雪姫の主従関係にほだされ、主君の命(めい)よりも、六郎太と雪姫の命(いのち)を大切に思う……その結果としての「裏切り御免!」となるわけです

詳細は旧作を観ていただくとして、この兵衛の「裏切り御免!」は実に爽やかです

一方、本作品では、武蔵が最後に雪姫と別れる場面で使われます
こちらには、あまり爽やかさは感じません。むしろ「騙しちゃって、ごめんね~ごめんね~~」といった感じでとても「軽い」!

そりゃあ、そうです。固く、互いの「名誉」も含めた主従関係で結ばれた主君と家臣の関係を「裏切る」のと、庶民が「ウソ吐いちゃって、ごめんね~」というのでは、状態もそうだし言葉の重みも違う

なにやら、テーマ曲にも使われましたが……
そ~~じゃね~~~んだよな~~~、この言葉は!

ってのが正直な感想ですね
たぶん、このリメイクを作った人々は、旧作をみて、兵衛の「裏切り御免!」という言葉がツボだったんだろう……と思うのですが、「裏切り御免!」が、本作品も旧作も「隠しテーマ」ってわけではない、と思うのですよ

本作品をご覧になった方は、是非、旧作も観て欲しいですわ。次々と襲いかかる苦難、それを見事にクリアしていく一行……まさにRPGのような、少年ジャンプのような、そんなワクワク、ドキドキが画面から伝わってくることでしょうから。旧作のソレを知ってしまうと、本作の仕掛けやカラクリ、謎解きは、まあ、ナンですわ、はい

なんやかんやと旧作・黒澤作品を観ろ、ってばかり言ってて恐縮ですが……

まあ、確実に言えるのは、仮に「若き日にジョージ・ルーカスが本作品を観た」としても、おそらくはその想いや感動、イマジネーションが後世、「STAR WARS」という形になって世界中の映画館に現れる……とはならなかったろうな~~と

この点だけは、まあ、間違いないでしょうね。なんにせよ、黒澤明監督は偉大だわ~~



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