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映画「アルキメデスの大戦」

アルキメデスの大戦 ☆☆☆/☆☆☆☆☆

戦艦大和の建造秘話……かと思いき、全くのフィクションなんですね。いや~~よく出来た話だわ~~。実に「最もらしい」。実話かと思っちゃいましたよ

原作はマンガですね。「ドラゴン桜」でお馴染みの三田紀房です。三田紀房、実に言い漫画家ですね~。絵はあんまり上手じゃないし、キャラもノーキャラに近いけど、毎回毎回、面白いマンガを世に送り出しています。大学入試(ドラゴン桜)やら投資(インベスターZ)やら、結構のめり込みましたわ~。とにかく面白い作品だらけ、ですわ……と原作者の話はともかく

今回の映画、話としてはこないな内容です

昭和の初めごろ、日本海軍には、艦隊旗艦となる新造艦建設の計画がありました。それまでの、老朽化した戦艦・長門に代わるもので、いわば「日本海軍の象徴」とも言える船づくりでもありました。出された案は「巨大戦艦」と「航空母艦(空母)」の2案でした

「これからの戦争は航空機が主体で巨大戦艦は不要になる」と考える海軍少将・山本五十六(館ひろし)たちは、海軍の大艦巨砲主義者たちが計画している「巨大戦艦」の建造計画を潰そうします

巨大戦艦を設計しているのは造船中将の平山忠道(田中泯)たちです。巨大戦艦には、本来、巨額の建造費が必要なハズですが、平山は不自然なまでに安い見積を提示。山本たちが強く推している空母よりも、「見栄えが良く、しかも安上がりである」とアピール。新造艦建造レースをリードします。

山本は料亭で出くわした元帝大生で数学の天才にして「美しいものはなんでも、測らないと気が済まない」という変人・櫂直(かい・ただし=菅田将暉)を海軍主計少佐に抜擢、巨大新造戦艦の正確な見積を計算させることで平山案のウソを暴こうとします。

「軍人は大嫌いだ」と反発していた櫂ですが、国力差が12倍とも20倍とも言われるアメリカとの馬鹿げた戦争を「数学で止められるかもしれない」と思い直し、田中正二郎少尉(柄本佑)を部下に、海軍の特別会計監査課長として、平山案の「巨大戦艦」の数字のカラクリを暴くべく、計測と計算を開始します……

まあ、フィクションなら、さもありなんです

まさに太平洋戦争、対米戦争に向かっていく途中であり、ここで登場する「巨大戦艦」というのは、まあ、言うまでもなく「戦艦大和」のことなんですが……映画の冒頭にも九州沖で大和が撃沈される様が、延々と映されますしね

まあ、実際問題として、現代の我々は、過程(太平洋戦争に突入していく様)も結果(敗戦、戦艦大和の特攻と撃沈)も知っているのだから、本編内で出てる場面場面に、フィクションならではの「マンガチックな世界観」を見いだしてしまうのかもしれないのですが……

例えば、「連合艦隊の旗艦になるんだから、美しいことが大事だ」「美しく世界最高の巨大な戦艦を見れば、国威は高揚し、敵はおののくだろう」とかなんとか……

現代の我々からすれば、ヲイヲイ、ですよ
ぱーなのか?この帝国海軍の高級軍人たちは??……そうしか見えませんね

まあ、ホントのところ、我々が現代において知りうる旧日本軍のマンガチックな体質は、こんな荒唐無稽なフィクションですら、「実は本当にそうだったんじゃねーか?」と思わせるぐらいマンガ的ではあったんですけどねぇ……

旧日本軍、その体質は、ほんとマンガです
死んでいった兵士たちは、ほんと「無駄死に」ばかりだったことでしょう

「補給なしで戦え」とか「根性でやれ」とか「気合が足りないから命中しないのだ」とか、ホント、旧日本軍って、近代国家の軍隊だったにもかかわらず、まったくもって精神論の塊で、おおよそ科学的視点を持ってなかった稀有な軍隊だったわけですよ

まあ、その「科学的視点のない」「精神論の塊」は残念ながら、現代の学校や企業といった、この国のなかにある「組織」に、脈々と受け継がれ続けちゃってんですがね……ナンとも、困ったモンです

そもそも、過去にキチンと向き合って、忌むべき過去を、きちんと清算してないでいつまでもいるから、この国はこんなアホなことを何度も繰り返し繰り返しているんだと思いますよ、いまでも

で、この「巨大戦艦建造」話に相通じる、当時の日本軍の、肝心な処での「科学的視点の欠如」は、こんな話にもよく現れていると思います

それは、兵士が被るヘルメットの話です

旧日本軍が使っていた軍用ヘルメット(鉄帽)は、ニッケルクロム鋼という、それはそれは当時としては最高級に硬い金属を使ってました

で、ヘルメットに弾が当たると、その硬い硬度が弾の衝撃を受け止め、割れることで弾を止める……というのを設計思想(まあ、つまり「目的」ですね)にしていたんだそうですが……

って、それじゃ一発当たったらもう使えないじゃん!

普通考えたらわかりますよね?

戦場って弾が飛び交う場所じゃなかったの????日清戦争時代ならともかく、日露戦争では203高地で、さんざんとロシア製機関銃の餌食になったんでしょ?もう忘れたの?

そもそも、一発しか当たらないかも……ってどんだけ運がいいの?近代戦はとにかく大量消費、どんだけ弾をバラ撒いたかが戦闘の基本でっせ~~。物量に勝る戦いナシっ!戦略や戦術がヘボくても、物量は人間を、そして戦いをも圧倒する……これ、近代戦の常識です

どうも旧日本軍はそういうようには考えてなかったようですね~

一弾入魂!高度に訓練された優秀な兵隊が、一発一発、ココロを込めて敵を撃てば百発百中!命中しないのは気合と根性が足りないからだ~~~~~っ!

ヤレヤレ、そんな時代に生まれてなくてよかったぜよ

そんな考え方と対極にあったのがアメリカ軍ですよ

アメリカ軍の思想は、いまでもそうですが、「兵隊はバカの集まり」です
なので、練度の低い人間でも、短い教育期間でちゃんと扱えるよう、ある意味簡単に、ある意味安易に、そして、熟練度の低さは、「数でカバーする」……

まさに、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、を地で行ってます

で、ヘルメットの話にもどすなら、第二次世界大戦当時のアメリカ軍のヘルメットは、高マンガン鋼製でした。ニッケルクロム鋼よりは硬度はないんですが、安くて、さらには、金属に粘り気があるので、衝撃に対して変形して、その衝撃を逃がす、という性質があったんだそうです

で、アメリカ軍のヘルメットは、その高マンガン鋼の外帽と、プラスチック製の中帽の二重構造で出来ており、弾が当たっても、その外側の部分が変形して衝撃を受け止めるので、被ってる人間への衝撃も軽減され、結果的に、「弾より硬いヘルメットで弾を弾き返す!」という旧日本軍のヘルメットよりも遥かに安全性が高く、つまりは、兵士も、アタマに弾が一発当たっただけで即、死んでしまうような無駄死をしなくてすんでたんだそうです

例えば……
「あるきめ亭」の自慢は、特別な出汁を使った湯豆腐です。店には、高級な鉄を使い火の通りもよく、また、見栄えのいい日本製の鍋と、安い鉄を使った見た目も使い勝手もこれといった特徴のないアメリカ製の鍋がありました

「あるきめ亭」は、仲居さんにはそそっかしい人が多く、鍋を客席まで運ぶ際に、どうやら鍋をあちこちにぶつけてしまっているようです

すると、日本産の鍋は、ぶつかったら割れて、豆腐が転げだしてしまいました。一方のアメリカ産の鍋は、ぶつけられてベコベコに凹みましたが、汁も豆腐も無事に客席まで届きました……とさ。まあ、こんな話ですよ。ナニが目的なのか?ってコトで

この映画でも、「戦艦が美しい」だのという台詞が何度か登場しますが……そもそも戦艦の目的は、その巨大な火力で、敵の船舶、或いは陸上の陣地を破壊することです。そりゃあ、機械にも「機能美」というものがありますが、そないなものは、まあ、実際の戦争においては、三番手、四番手……いや、もっと後の後の話です

「格好いいけど当たらない」大砲なんていらないし、「飛べない豚」は「ただの豚」でしかありません

と、トウトツに映画の話に戻しますが……菅田将暉が相変わらずいいですね。いい役者ですわ。ナンにでもなれる。同時に、柄本佑が実に良く物語をサポートしてます。すでに名バイプレーヤーですね。親父よりもスゴイかもしれない

オープニングの戦艦大和が撃沈されるシーンがもう少しコンパクトなら星4つでしたが、あれがちょっとダラダラと長かったので星一つ減で星3つにしました

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