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映画「ゲット・スマート」/Get Smart

ゲット・スマート ☆☆☆☆/☆☆☆☆☆

2008年のアメリカ映画です。一応、スパイ映画なんですが、スパイを元にしたコメディ映画と言った方が正確ですね。スパイ映画って、007シリーズのような「正統派」から、「Spies like us」(←ダン・エイクロイドとチェビー・チェイスが主演で、もう、馬鹿馬鹿しい限りのスパイ映画です。機会があれば是非……)のような純粋コメディまで、いろいろありますよねぇ。こちらは言うまでもなく後者ですね

原題の”Get Smart”は、邦題を「それ行けスマート」で知られた、1960年代にアメリカで制作された人気テレビドラマらしいですが……見てないのでわかりません。ただ、この”Get Smart”にはいろんな意味が含まれているので、その辺のニュアンスも考えて日本語訳するなら、少なくとも「それ行けスマート」ってな意味ではないような気がしますけどねぇ……、はい。まあ、どうでもいいことですが

ざらっとストーリーを説明しますと……
「国際犯罪組織カオス」というのがあるようなのですが、これに対抗する秘密諜報機関がアメリカにあって、その名前が「コントロール」だそうで。で、この「カオス」vs「コントロール」の闘いは、オフィシャルには冷戦の終結と共に終了。「コントロール」も解体されたことになってたハズなんですが……

そこはそれ、諜報機関ですから(笑)

解体を装って現在もなお、水面下での諜報活動を続けています。で、本編の主人公は、その「コントロール」の敏腕分析官、マックスウェル・スマート(スティーブ・カレル)です。マックスウェルは、諜報機関で働くのだから、地味~~な本部詰め内勤ではなく、世界を股にかける現場エージェントになることを願っているようです

なかなか世知辛いのですが、エージェントになるには「昇格試験」があるようなんですね。マックスウェルは過去に6回受験し、ことごとく落選・失敗してましたが、7回目にしてようやく合格!……しましたが、上司から「組織一の分析官がいなくなるのは困る」とエージェント昇格を見送られてしまいます

ショックを受けたマックスウェルが、気晴らしに街へ散歩に出ている間に「コントロール」本部は「カオス」の襲撃を受け壊滅。情報も奪われ、世界中のエージェントも次々と殺されてしまったことから、マックスウェルは、急きょエージェント86となり、「カオス」に対抗することになります

相棒となるのが、最近、整形手術を受けたばかりで「カオス」に顔が知られていないエージェント99(アン・ハサウェイ)。そして舞台はロシアへ……。

ま、何でもコメディ映画にはなる、ってことですよ。そういえば、イギリス王室をネタにしたコメディ映画も、いろいろありましたもんね

王室のような「権威」を笑い飛ばせるコメディアンが居て、そのコメディを楽しめる文化がある、ってのは、ある意味、健全な社会だと思いますよ

例えば、日本で皇室ネタのコメディは、ほぼほぼ存在しないし、中国や北朝鮮において、体制を批判するようなコメディは確実に弾圧される。そう考えれば、英国王室を笑い飛ばすモンティ・パイソンやら、人種や宗教も笑いのネタにしてしまうSNLとかサウスパークとかがあるアメリカは、いろいろ問題があっても、精神的には健全な社会なんだと思いますね

本編に話を戻すなら……そもそも、この「国際犯罪組織・カオス」は、一体、何をめざしているんでしょうねぇ。よくある話ですが……「世界征服っ!」って、世界を征服して、何をするんですか?って話ですよ。

贅沢に暮らす?
快楽に溺れる?
他人を支配する?

……どんなにやったって、人間100年は生きられませんよ。まあ、100年、生物学的に生存し得たとしても、「人間」として暮らせるのは、せいぜい80年ぐらいでしょ?1人の人間が世界征服を志したとして、その成果を味わえるのは10年?20年?生産なり流通なりのシステムを無視して「果実」だけを味わおうってのは、そもそも出来ない相談だし……。経済が成り立ってないと、仮に支配者になっても、ワイン一本飲めない、ってことですよ。需要がなければ、モノは生産されないし、モノを生産するためには、生産する人がいなきゃならんんし、その人たちが、いいものを作る仕事をせにゃならん。力業だけでは、世の中は成り立たないし、持続可能じゃない

話が逸れましたが……この手の「巨大な悪」のような陰謀論を聞く度に、世の中って、そんなに単純な仕組みで回ってないなよな~~。誰かの意思だけで、回せるほど甘くないよな~~と思ってます。なので、今回のマックスウェルのような、単純に計り知れない未知なヤツが、一方的な決めつけを根拠にした「陰謀論者」たちを、「想定外なお馬鹿ぶり」でぶっ潰していくのはまさに、自明の理のような爽快さですね(←使い方間違ってね~か?)

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