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映画「燃えよ剣」

燃えよ剣 ☆☆☆☆/☆☆☆☆☆

司馬遼太郎原作の歴史小説で、幕末に活躍した新撰組副長の土方歳三が主人公の物語です。土方歳三は、特攻隊員から凄腕の殺し屋、石田三成まで、何でも演じられる岡田准一くん(←っても、知り合いでもなければ、友達でもありませんがね……)です。監督は、いま、日本で一番面白い映画を撮っているんじゃないか?と思われる原田眞人監督です。原田監督は今回、脚本も担当してますね

いや~~面白かったです。ホント、いろんな意味で面白かったですよ。脚本もさることながら、キャスティングがとにかくいいっ!そして、映像も素晴らしく……まあ、なにはともあれ、現在(2021年10月時点)、絶賛公開中なので、是非是非、映画館まで足を運んで、でっかいスクリーンで見て欲しいなぁ

話(ストーリー)としては、武州多摩・石田村というところで生まれ育ち、薬屋の行商をしながら武士になりたがっていた百姓の土方歳三が、幕末の混乱期に、仲間たちと京に上り、やがて、会津藩御用達の武装集団「新撰組」を作り上げ、池田屋事件、大政奉還、戊辰戦争と駆け抜け、函館(当時は箱館)で戦死するまでの一代記です

まあ、日本人で歴史好きの人なら、だいたいはお馴染みのストーリーですね~

なので、どんなにがんばっても会津藩は敗れますし、江戸幕府は崩壊する。徳川慶喜(山田裕貴)は政権どころか味方まで投げ捨てるし、新撰組も土方歳三はもちろん、近藤勇(鈴木亮平)、沖田総司(山田涼介)、芹沢鴨(伊藤英明)、伊東甲子太郎(吉原光夫)、藤堂平助(金田哲)……とまあ、その大半、いや、ほとんどが死にます

政変から内戦へと進んだ戊辰戦争では、薩摩と長州が勝って、その後の日本を作っていき、その途中でもやたらと「暗殺」が続いて国のカタチも変容していき、まぁ、最終的には、200倍もの国力を持つアメリカに喧嘩を売って、300万人もの国民が死ぬ「太平洋戦争」なんつー暴挙に至るのですが……まあ、それは今回のテーマではありませんね

あたしゃ、今回の司馬遼太郎の原作を、かれこれ20回ぐらいは読み返しているので、話の筋は空でも言えるほどですが、今回のこの作品は、司馬遼太郎の原作をベースにはしていますが、全くの別物に仕上がっている、といえるでしょうね。もちろん「当社比」ですが

毎度のことですが、原作がある映画作品に関して、「原作と同じ」だの、「原作とはまったく別モン」だのと、原作との類似点や相違点を探しまくって、それをもってして評価するというのは、まったく生産的ではないのですが……時として、それは必ずしも「無駄ではない行為」である、時もありますね……ってナンのこっちゃ?

つーのは、だれでも「原作」に対する「思い入れ」ってものがあるもんなんですよ

もちろん、原作を読んだことのある人にとっては、の話ですぜ。なんかしらあるでしょ?そう!あるんですよ、それは。もちろん、映画を観ている側だけじゃなく、実は作る側にも同じようにあるんです。それ故、原田監督はこないな映画を作ったわけですが……まあ、それはおいといて……

話を「原作」のあるなしに戻しますと、今回は「原作アリ」になります。そして、その数ある「原作アリ」の中でも、今回は、特に、司馬遼太郎の歴史小説が原作となってます。そう!つまり、今回の原作は「小説」なんですな!「小説」なので、そもそもの話が、どこまで事実で、どこまでが虚構であるか、その線引きは極めて曖昧です。加えて、「小説」である以上、主人公の土方歳三の顔カタチや風貌ひとつにしても、それはそれは読んだ人なりの、あるいは読んだ人の数だけの「土方歳三像」があります

もちろん、土方本人は、本映画でも出てきますが、写真を撮っているので、本人が実際にどんな顔をしていて、どんな背格好をしていた人であったかは容易にわかります

土方歳三……実に男前ですね~

しかしながら、みなさん!
みなさんが小説を読んでいるとき、アタマのなかで動き回っている土方歳三は、必ずしもこの写真に残された実物の土方像ではありませんよね?アタマの中で、なんやかんやといろいろとデフォルメされていたり、マンガのキャラだったり……それこそ、小説を読みながらアタマの中では、人それぞれ、その人なりの「土方歳三」を楽しんでいると思います

とかく映像化というのは、原作に忠実にやればやるほど、見る側……特に原作を読む側の想像力を奪い、イメージを固定化してしまいます

わかりやすい例が、ハリー・ポッターです
2001年に映画版のハリー・ポッターシリーズの第一作「ハリー・ポッターと賢者の石」がダニエル・ラドクリフ主演で公開されるまでは、小説版を読んだ人ごとに、その人なりの「ハリー」が居たモンです

ところが、この「賢者の石」公開以降は、「ハリー」=ラドクリフくん(←知り合いでも友達でもないですよ、念のため)と、殆どの人がイメージを固定化させてしまったのではないでしょうか?さらに不幸なことに、この「賢者の石」公開以降に原作を読んだ人たちは、ハリー=ラドクリフくん、ハーマイオニー=エマ・ワトソンと、それこそ、顔から衣装、背景となる部屋の壁から調度品まで……想像する自由さをなくしてしまったことと思います

まあ、それ自体、別に悪い事じゃあ、ないんですよ、念のため(笑)只単に、強烈なビジュアルの提示は、アナタのそんなにはないかもしれない活字から沸き上がる想像力をより効果的に減退させる、ってことですよ

しかしながら今回のこの映画「燃えよ剣」のスゴイところは、むしろ、その想像力の減退を補ってあまりある……キャスティングの妙!なんです

鈴木亮平演じる近藤勇、実にいいです。山田涼介の沖田総司……もしかすると、これまで日本の映画の歴史の中で登場してきたありとあらゆる「沖田総司」の中で「最高のアタリ役」なんではないでしょうか?……が、しかしっ!その、そんな「山田涼介の沖田総司」を上回るのが、伊藤英明の芹沢鴨です!

伊藤英明つーと、「海猿」シリーズに代表されるような肉体派の俳優さんというイメージがありますが、今回は、芹沢鴨の持つ(←正確に言うと原作などに記された「芹沢鴨」という一つのキャラクターについて、ですが)、水戸浪士であり、百姓あがりではなく、ホントのサムライがその階級故に持っていたであろう知性やプライドといったものと、そんなサムライであればあったほど、同時に、急激な時代の変化と共に背負い込んでしまったのであろうその「狂気」を、実に良く、素晴らしく演じています

これまでは芹沢鴨といえば、2004年の大河ドラマ「新撰組!」での佐藤浩市が「最高!」と思って来ましたが、今回の伊藤芹沢は、この佐藤芹沢を完全に超えましたね。まあ、ドラマにおける「立ち位置」の違いもあるので、「超えた」という表現が正しいかどうかはわかりませんが……

ま、なんにせよ、まだしばらく公開していると思うので、是非、映画館で見てください。後悔させませんぜ~~

惜しむらくは、2時間ちょい、という尺にたくさんの話を入れ込んだので、まあ、なんつーか、話のテンポが早いこと早いこと。最近のアメリカ映画のようで、ナンともせわしい感じがしましたね。後は、これはまあ、言っても仕方のないことなんだけど……岡田くん(……っても知り合いでもなければ友達でもないけどね……)のタッパがもう少しあると……、だなー。なまじ土方歳三は、そういう意味で肖像写真も残っているので、体つきからすると、山本耕史(大河ドラマ「新撰組!」で土方役)のほうが「それっぽい姿」だったかなー。岡田くん、残念!ホント、もう少し背があると、それこそ完璧だったんだろうけどな~

そうそう、それと……原作と映画が別物(当社比)の件

アタクシの印象だと、原作・小説の中の土方歳三は、もう少しクールで無愛想な感じだったんですな。司馬遼太郎の文体もコレ有りで。同様に、近藤勇も、もう少しアタマ悪そうなまでに武骨で、それでいて若さはなく老成してる感じ……でした。ので、今回の映画は、それはもう、キャスティングは素晴らしいし、俳優たちの演技も素晴らしいのだけど、まあ、小説とは違った物語だよな~~~と

以上、今回は、映画「燃えよ剣」について、でした!

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