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映画「天地明察」

天地明察 ☆☆☆/☆☆☆☆☆

2012年に岡田准一主演、滝田洋二郎監督で作られた映画ですね。沖方丁作の同名の時代小説が原作となってます

時代は江戸時代。どうやら四代将軍・徳川家綱の時代のようです。一介の棋士であるにもかかわらず将軍後見役で会津藩主・保科正之に目を掛けられた安井算哲(岡田准一)は、星の動きや数学(和算)にも興味津々。ひょんなことから、「暦のズレ」をなくすべく、観測と計算に没頭する……ってな話です

それにしても、岡田准一くんは年に何本映画に出てるんでしょうねぇ。時代劇から未来劇まで、殺し屋から特攻隊員まで……まさに、役所広司(やくどころひろし)とは、彼のためにある名前ですね~

さて、この映画のころ……江戸時代初期の日本には、まだコペルニクスの「地動説」は伝わっていません。おそらくは平板な大地の上を、星や太陽、月が、ある程度の周期をもって運行している……まあ、中国から来た暦もあったでしょうからね……そんな「天動説」をベースに、緻密な天体観測と、それからくる計算だけで正確な暦を作りだそうとした……って、日本人、なんとも物好きで、かつ、とてつもなくスケールのデカい話ですね

現代の我々からすれば、閏年があるのも当たり前なら、蝕(日食でも月食でも)は、次に、いつ、どこで発生するかまでを正確に予測することできますが、このころは、地球が太陽の廻りを回っている……という基本的なことすら知識としてなかった。なのに計算して、推測して、それを当てようという……

何がすごいかって、地球だの星だの、基本となるデータが全部そろってて計算するんじゃないですよ(笑)太陽や星や月が、大地の周りを回っている……という、そもそもが「間違った前提」からやってるわけですから(笑)

ナニがどうすれば、それがわかるのか?映画を観ていても、そこいらの理屈は、さっぱりわかりませんでしたね~。まあ、それは仕方ないでしょ。だって数学どころか算数すらも得意じゃないし~、そもそも第二種文系だし~(※)

とにかく、トンでもない人たちが居た、ってことですねぇ……

ホント、最近ではインチキの誉れ高い「江戸仕種」とやらをありがたがるぐらいなら、この「未知なるもの」に、観測と計算という、科学的視点で挑んだ、そんな頭脳たちがいた、ってことに関心を持って、かつ、学んでいただきたいものですね

映画で驚いたのが、「神社に計算の問題が奉納され、参拝者がそれを解き、次の問題を奉納していく……」という……ホンマにこんなん、あったんかいな?という部分です。たぶん、あったんでしょうね~。いかにもありそうだもん、ニッポン

こんな国、他にある?

近年、政治家を筆頭に、「反知性」がはびこる一方で、やたらと日本国内のチープなあれやこれやを取り上げては「ニッポンすごいぜ」「クールだぜ、ジャパン」みたいな、そんな気持ち悪い自己礼賛ばかりが目立ちますが、この、日本人に脈々と継承されている知的好奇心と行動力、知識欲……ここいらをもっと褒め称えた方がいいんじゃねーの?と思いますね

関孝和、ホント、すげーわ。計算をし続けて、暦のズレが解明出来たとして、あんたにいったい、ナンの特があるというのだ? すごいなぁ……


※「文系に一種と二種あり。一種は英国を得意とす。二種は理数を不得意とす」

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