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映画「サムライせんせい」
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サムライせんせい ☆☆☆/☆☆☆☆☆
幕末の志士にして「土佐勤王党」の首魁だった武市半平太(市原隼人)が、現代にタイムスリップしてしまい……と、まあ、逆のバージョンだと、マンガでありドラマでも人気を博した「仁~JIN~」なんぞが有名ですが、パターンとしては、極めて使い古された手口です
本作品も、原作はマンガのようですね。テレビドラマ化もされていたようです。テレビ観ないので知りませんでしたが(笑)
さて……何かと使い回される「タイムスリップ」ですが、これが「過去に戻る」パターンなら話は比較的簡単でしょうね。なんせ、これから起こりうる「未来を知っている予言者」たり得ますから。例えば現代人が、それこそ「戦国自衛隊」のように戦国時代にタイムスリップしちゃったとしたら、まあ、未来からの知見で、それはそれは、それなりに立ち舞えるでしょう、たぶん
しかし、未来に来てしまっては、これは問題ありありでしょう。いろいろな意味で「浦島太郎」です。江戸時代の人にいきなり「車を運転せい」だの「スマホでちょっとググって」なんてことは頼めません。相当戸惑うでしょうね、これは
で、タイムスリップが「必ずしも過去にだけ向かう」というのではないのだとして……本作品がまさにソレですね……で、スリップ先が、過去か?未来か? どっちがせつないか、と言ったら、アタクシは「未来」に来てしまったほうが切ないでしょうと思いますなぁ
つーのは、過去にもどってしまったのなら、そういうわけで、とりあえず、これから起こるであろう各種イベント事の想像はつくわけだし、場合によっては、そのイベント……例えば「明治維新」についても、ある程度の知識があれば、積極的関与でも、消極的回避でも可能なわけです
ところが、これが「未来」に行ったとなると、「知識の連続性」が失われてしまいますね。つまり、自分の知識や経験は、その「未来」で役に立つのか?、そもそも使えるのか?って事です
例えば、本作品のような幕末の志士たちにとっては「帯刀しいざとなったら抜刀する」は当たり前のことですが、現代においては、そもそも帯刀なんぞしているだけで、いきなり、「ちょっと、そこキミ……」とスピーカーで呼び止められて、3~4台のPC=パトカーで周囲を封鎖され、拳銃を構えた10人近い警察官にいつでも発報できるような状態のまま包囲される……こと、間違いナシです
まあ、タイムスリップに関しては、名作・BTTF (Back to the Future) などなど、これまでも、これからも、いろんな映画に登場する話でしょうから、これぐらいにしておくとして……
今回の主人公は、そういうわけで武市半平太です
幕末好きには外せない人物でしょうが、同じ土佐藩でも、坂本竜馬ほど有名ではありません。史料もそんなにないことでしょう。西郷隆盛や大久保利通のように(薩摩藩ですが)、幕末を生き抜いたワケでもないので、間違っても、武市半平太の名前や役割が試験に出ることはありません。まあ、高知県の郷土史のテストとかならわかりませんが……
史料のすくない過去の人物……しかも、その史料が「正確なもの」や「直積的なもの」ではなく、ひたすら伝聞と創造的穴埋めでしか検証出来ない人物……実在はしましたが、今日ある「○○像」はひたすら「虚構」という、まあ、前田慶次のような人物のドラマ化は、ある意味、「一定の枠内だったら、ナニやってもOK」的なノリがありますね
例えば、前田慶次にマシンガンを持たせることは出来ませんが、長射程ライフル(のような火縄銃)は可能です。まあ、総じてそんなもんです
元々が荒唐無稽ですから、ドラマはどんなに面白いストーリーにしてもいいですが、やはり余り現実と乖離してしまうと、共感には至りません。これは、主人公が過去に行こうが未来に来ようが同じ話ですね
まあ、そんなわけですので、今回のこの作品、武市半平太という、まったく無名ではないけれども、そんなに有名でもない歴史上の人物が主人公で、その伝聞人物像に合わせて、いろいろストーリーは展開させているのですが……まあ、現代人のリアクションも何やらわざとらしさ……まあ、ドラマなんだから当たり前ですが……が先に立ち、結果、リアリティーがまったく感じられない仕上がりになっていたのではないでしょうかね?
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