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映画「二百三高地」
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二百三高地=☆☆☆/☆☆☆☆☆
1980年の作品です。なして今ごろ?と言えば、特別密林で入ったからですね
日本映画としては当時、破格の15億円の制作費、3年の歳月をかけて作られた「日露戦争」を舞台に、戦争に巻き込まれた様々な人を描いた戦争・人間ドラマです
明治天皇を三船敏郎、日本軍の将軍・乃木希典を仲代達矢が、政治家の伊藤博文を森繁久弥が、日本軍の満州軍総参謀長の児玉源太郎を丹波哲郎が、主人公の小学教師をあおい輝彦が、その恋人を夏目雅子が演じています。なかなか重厚なメンバーですね
店主は司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」を何回か読んでいるんで、この時代がどんなんだったのは、「司馬史観」を通じて知ってましたが、映画を観たのは、実は今回が初めてです。すげーなー、特別密林w
15億円をかけたというだけあって、なかなかに見応えはありましたね。CGのない時代です。大規模なセット、ミニチュア……日本映画にしては、かなり良く出来た方でしょう
だた、爆発音が、一部で怪獣モノの爆発音と同じのがあり(チュド~ン、みたいなヤツ。よくウルトラ警備隊とかが怪獣に攻撃した時の爆発音w)、リアルなんだか、インチキ臭いんだかわからん点もありましたがね
個人的には日本アカデミー賞で、助演男優賞にも輝いた丹波哲郎の児玉源太郎がよかったですね。「坂の上の雲」で描かれていた児玉からイメージした児玉そのものというか(←日本語が妙ですがw)。ホント、こういう人物がいないと、凝り固まった組織は自沈してしまうことでしょうよ
ヒロインの夏目雅子、若いですね~。若くしてお隠れになってしまうとは、だれも想像つかなかったでしょう
映画は185分もあるので、途中に休憩?が入ります
この時に、安っぽいカラオケのように、さだまさしの歌う主題歌が歌詞付きで入るのですが……これがなんとも気持ち悪かったw
”死にますか?””死にますか?”を連発するアレです。一定年齢以上の人は、1度は聞いたことがあるだろうあの歌です。実に気持ち悪い。歌詞も気持ち悪いけど、歌うさだの声も妙に気持ち悪い。あれがなければ、もっとよかったのになぁ……
……
……
……
と、以下は、「二百三高地」にまつわる雑記ですw
タイトルになっている「二百三高地」というのは、日露戦争(1904~05)の「最激戦地」となった「旅順攻囲戦」で、作戦成功のカギを握っていた名もない山のことです。標高が203メートルなので、「二百三高地と日本軍は名付けた」などと映画の中では解説されます
「旅順攻囲戦」は、中国の遼東半島の先っぽに「旅順」という軍港があり、ロシアの太平洋艦隊の拠点があったことから、日本軍が攻撃したってわけです。日露戦争は、元々が、日本とロシアの間で発生した、中国北東部・満州への利権と朝鮮半島の支配権を巡った対立が原因となって起こった戦争です
ほいでもって、この当時の戦争は、いわば「陣取り合戦」でもあったので、どっちががどっちかに攻めていって、戦略拠点を占拠し支配すれば勝ち、という比較的わかりやすいものでして、日露戦争での主戦場は満州でした
ロシアはシベリア鉄道を使って、兵員から戦略物資までどんどこどんどこ満州まで運べますが、日本はとりあえず、何をするにも1度は日本海を渡らなければいけません
日本が朝鮮半島を支配していたとはいえ、生産力・兵力の殆どは本国……つまり、日本海の向こう側にあったわけで、設定した主戦場で陣取り合戦をするためには、日本海の制海権確保は、まさに前提条件です
一方、ロシアには当時、この中国・遼東半島の旅順と、ウラジオストクに軍港があり、戦艦を含む艦隊も当然配備されていました。それ故、この2つの軍港を潰すなりなんなりして、ロシアの太平洋艦隊(って言っても居るのは日本海ですが)を無力化しないことには、大陸での戦争が出来なかったのですな
そこで、この映画で描かれたように、日本軍は遼東半島の根本から旅順港のある先へと進軍しますが……
映画では冒頭、日本とロシアの国力の差が紹介されます
いろいろ調べると、当時、日本とロシアの国力差は人口で1対3、国家歳入で1対10、貿易額で1対20、陸軍兵力で1対20、海軍兵力で1対2……と、ロシアの数字は、いずれも「○以上」だったようで……。当時の世界中も思いましたし、現在の我々においても、まあ、ナンとも無謀な戦争をやったものですよ
当時の日本、いまから想像も出来ないぐらい貧しい国でした
東洋の大して資源もない貧乏国が、背伸びして近代化を強引に推し進め、なんとか西欧諸国に追いつこうと躍起になっている時代……。まさに「坂の上の雲」を見ているような時代です。巨人に赤子が挑むようなものです、映画でも、招集され戦地に送られる兵隊たちは、豆腐を売ってたしがない豆腐屋やら刑務所に入ってたチンピラやら小学校の先生やら……「お国のため」とはいえ、健気で哀れそのものです
旅順攻囲戦では、日本は延べ13万人の兵力を動員し、死者約1万5400人、戦傷者は延べで4万4千人にもなりました。映画見ていてもわかりますね、機関銃の十字砲火の中に、無為無策、根性と気合だけで「突撃~~~~」と突っ込んでいくわけですよ。そりゃ、死にますがな。それを何回も繰り返す……
映画でも描かれていますが……
①作戦司令部が無能(無能な人間、視野狭窄な人間が指揮官となっている)
②作戦司令部が前線を知らない(見ていない)
③敵の情報に疎い(情報をアップデートせず、相手の「今の状態」を知らなすぎる)
④力押しばかり、精神論に頼る(非科学的・非論理的)
⑤兵隊はひたすら消耗品(兵站無視、前線まで弾薬はおろか食事も届かない)
…………
「日本軍はアタマがおかしい」。前回までの失敗の学習もせず、ひたすら死ぬためにだけに寄せてくる……ロシアからみたらそうでしたでしょうねぇ
現代の我々には非常に既視感のある戦争スタイルですね
そう、太平洋戦争のそれですよ
旧日本軍の戦略思想の「原型」が日露戦争にあったのです
国力の差もふくめ、太平洋戦争でも、まったく一緒でした。アメリカと日本の差は200倍だったかな?当然のように太平洋戦争で日本は負けました。勝つと思っていた、というだけで度しがたいおろかさです
その日本の「戦争における勝利の方程式」とされた日露戦争
たまさか日本が「勝った」ような表記が、歴史教科書を含め多いですね。明らかに間違いです
ご存じのように、この「二百三高地」の後に、奉天会戦、日本海海戦など、戦術的な勝利を重ね、日本は、当初からの予定であった「講和」に持ち込みます。映画でも最初の方で、児玉源太郎が伊藤博文に言ってますね、戦争の勝利条件が「良くて有利な状態での講和である」と
戦術的勝利を重ね、アメリカの仲介も得て、なんとか「講和」に持ち込みましたが、当時、日本の戦争継続能力はすでになくなっていました。映画でも「タマ(弾薬)がない」というシーンが再三出てきます
一方のロシアは、その後、ロシア革命なんぞもありましたが、弾薬も兵士もなんぼでも居て、戦争はあと何年でも続けられる力が残ってました。そんな意味でも、戦争ってのは「経済力(生産力)」の戦いでもあるんです
まあ、実際に、ロシアが、その後の戦争の継続をホントに出来たかどうかはわかりませんが、少なくとも日本には、もう戦う力はなかった。例えば、日露戦争直後に別な国が攻めてきたとしたら、日本は即時降伏だったでしょう。人もカネもなかったのですから
歴史の問題にも良く登場する「ポーツマス条約」ですが、なんとか講和にこぎつけ、朝鮮半島と満州での権益や領土としてのカラフトは得たものの、肝心の賠償金は取れず……。所詮はアジアの弱小三流国家、外交ベタもありますが、足元を見られたわけですよ
冷静に考えれば、「ちょっとマシな引き分け」で御の字だったのが、マスコミの責任も大きいのでしょう、戦後は「ニッポン、勝った勝った」の大合唱で……
これまた映画にも登場しますが、旅順攻囲戦で、山のような戦死者を出した乃木希典なんぞ、戦時中は「国賊」「無能」として家に石を投げられますが、戦後は、「乃木さまさま」「大将軍」「名将」などとと持ち上げる。明治天皇の崩御に合わせて妻ともども自刃すれば、今度は「軍神」です
日本が何故、あの無謀な太平洋戦争(対米戦争)に突き進んでいったか、その原因・根源が、「日露戦争にあった」というのは、この映画でもよくわかります
司馬遼太郎の「坂の上の雲」、まだな方は、是非、読んでみてください
この映画の部分などは、ほんと、読んでいて死にたくなるぐらいウンザリします。なんて愚かな連中が愚かな戦争をやっていたのかと
「坂の上の雲」は、NHKのドラマにもなってて、モックンこと本木雅弘や阿部寛、香川照之あたりが、主人公をやってますが、演出担当の解釈なんでしょうか? 登場人物がいずれも妙に軽い……軽薄に描かれていて、まあ、アレですw
……
……
……
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